【コンクリート工学誌3月号】私も知らなかった養生の事実を紹介

202403月 コンクリート関連

こんにちは、ポッキーでございます。

もう、3月も終わりますね~。1年は本当に早かったと感じています。さくらも来週あたりから咲くようなニュースを聞きました。本日の気候は寒いですが、徐々に春を感じている今日この頃です。

はい、それでは、本日は、コンクリート工学3月号についての内容を紹介しようと思います。

3月号の主な記事は、①2023年制定土木学会コンクリート標準示方書改定の概要、②部分プレキャスト部材を用いたボックスカルバート構築、③工事プロジェクト記録の5件、④コンクリート養生の講座 の内容になっています。

そして、今回取り上げるのは、②と④になります。

特に④は私も知らなかったことなので大変勉強になりました

皆さんもぜひ読んでみて下さい。

それでは②部分プレキャスト部材を用いたボックスカルバート構築になります。

概要としては、

「建設就労者の高齢化や離職、担い手不足が顕著化しており、土木学会ではコンクリート工全体での生産性向上を目指しています。いろいろなプレキャスト製品がある中で、ボックスカルバートの提案をされています。以前は、運搬車両や重機、施工ヤード等の制約から内空断面が12m2程度以下に適用が限られていましたが、分割したプレキャストスト部材にすることで大型のボックスカルバートに対しいても採用できることを提案する内容になっています。」

施工手順はまず、①底版を現場打ちします。②側壁部材には鉄筋を内包したプレキャスト版を設置し、中詰めコンクリートを打設します。それを繰り返し側壁が完了します。その後③、鉄筋が内包された頂版部材を架設し、生コンを打設するものです。

プレキャスト部材は、よく接合部が問題になりますが、ここでは、モルタル充填継手を用いています。施工性を考慮し、同一断面に配置しています。現在は継ぎ手構造には通常のRCと同等程度以上であることが確認されており機械式鉄筋継手工法ガイドラインにおいても同一断面内に配置することが生産性向上の観点から望ましいとされています。

正負交番載荷試験により破壊状況や、荷重変位関係を確認し現場打ちコンクリートにより製作したボックスカルバートと同等以上の耐力および変形能を有していることが証明されています。

まとめ

ここで、コンクリート診断士の立場で考えてみると、非常に不具合があっても見つけにくいと感じてしまいます。それは、現場でも生コン打設を行っているにもかかわらず、特に側壁部はプレキャスト材のため外から確認することができず、未充填や劣化状況を確認することが容易ではないと思ってしまいます。現在使用されているような電磁波レーダーなどで容易に空洞等を確認できるのだろうかなど不安な気持ちになりました。ただし、丁寧に中詰めコンクリートが施工させていれば、問題ないのですが…。欲を言うと、維持管理も見据えた上での設計をして頂ければなおいいなと思った次第です。

次は④コンクリート養生の講座になります。

コンクリートには養生が重要なことは、皆さんご存じの通りです。コンクリートは化学反応で効果します。それに欠かせないのが水になります。

この②では、打ち込み後の養生がコンクリート品質に及ぼす影響についての講座になっています。

基本的なことから私も知らなかったことまで記載があり、大変勉強になったので簡単に紹介したいと思います。

水セメント比が高いものと低いものを比較した結果になります。水中養生を行った場合を比較してみると、高水セメント比の場合は、水和進行が進行している傾向であすが、低水セメント比では進行が停滞しています。乾燥状態では、どちらも停滞しています。

この結果より、低水セメント比の場合はあまり養生の影響を受けないが、高水セメント比の場合には、養生して水和進行を進行してあげることが必要であると考えられます。高水セメント比は水分量が多く空隙が多く存在するため、水和度を高くし空隙を埋めるために養生がより重要であると推測できます。

次に養生温度です。5℃と40℃で比較を行っています。40℃の養生では高低水セメント比のどちらも初期材齢で水和度が進行していますが養生日数が長くなると殆ど進行していません。5℃の養生温度では、低発熱セメントや高炉セメントC種は水和進行が遅延していますが、長期的には水和度が高くなっています。

次は乾燥環境から水分を与えた場合でセメントと高炉スラグ微粉末で実験をしています。乾燥状態では水和度がどちらも遅延していますが、水分を供給すると急激に水和反応が進行する結果となっています。一度乾燥して水和反応が停止した場合においても水分を供給すると水和が再開ことが知られています。(私は知りませんでした(^^;))

このような結果より、気中養生を行ったコンクリートは水和反応が未進行なため、空隙が多く、圧縮強度や性弾性係数も低下してしまいます。やはり、養生は重要なことはもちろんですが、セメント性質を知った上で行うことがより効率的であるとも述べられています。加えて、かぶりの厚い構造物であれば、表層のコンクリートからカルシウムなどの溶出の恐れも否定でいないなど、このような領域は、せいぜい乾燥面から20~30㎜程度あるという結果も示されていますので、費用対効果を考慮し養生の簡素化や短縮なども含めた養生計画の必要と記載されています。

まとめ

これからは、なんでも同じように養生することが必ずしも重要ではなく、本質を掴んだ上で効率的に行うことが必要であることが理解できました。しかし、技術者の力量が無ければ実施できないため、効率的とはいうもののきちんとした知識を身に付けていなければ痛い目にあるのではないかと背筋がぞっとしてしまいました。

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