こんにちは。ポッキーです。
本日は、コンクリート工学誌2024年1月号の記事で私が注目したことについて、書いていこうと思います。
今回は特集になっておりまして、「ライフラインとコンクリート」がテーマになっています。
今回私が、コンクリート主任技士と診断士の観点から選んだのが 1.1国土強靭化 5.1地中送電用シールドトンネルの維持管理 としました。1.1は、コンクリート主任技士の論文に役立つ導入文に使えると考えました。5.1は、地中送電用シールドトンネルの劣化事例と維持管理例が謳われており、診断士として一つの知識として覚えておく必要があると思ったためです。
この記事を読んで頂くと、コンクリート主任技士と診断士取得のための導入文と必要な知識をえることができます。
コンクリート工学誌2024年1月号
当本誌の目次は次の通りです。
1総論:1.1国土強靭化、1.2下水道から見る社会の変化とインフラの役割
2水をためる:2.1配水池の機能について、2.2貯水用PCタンクのこれまでとこれから、2.3雨水貯留施設関連の指針類とプレキャストコンクリート製品の活用、2.4プレキャスト雨水地下貯留施設の設計・製造・施工、2.5発電用ダムの設計・製造・施工・維持管理ならびに自然災害リスク低減に向けた取り組み
3エネルギーを確保する:3.1LNG地下式貯槽の機能とコンクリートの特徴、3.2PCLNG地上式タンクの防液堤構築技術の変遷、3.3PCLNG地上式タンクへのプレキャストスト工法の適用、3.4コンクリート製浮体式洋上風力発電施設の設計施工ガイドラインと検討例
4汚染を防ぐ:4.1下水道施設のコンクリートに関する研究開発、4.2資源を創出する汚泥処理施設PC卵形消化タンク
5ライフラインを守る:5.1地中送電用シールドトンネルの維持管理、5.2海岸保全施設整備事業とプキャストブロック活用、5.3物流施設におけるPCaPC造の設計・施工、5.4地震時応急対応のための構造ヘルスモニタリングシステムの概要と展望と展開、5.5プレストレストコンクリート造の防火拠点施設への展開
コンクリート主任技士のリード文に使用できる
では、1.1を私なりにまとめ、それを基に導入文を作成します。
最初のテーマである「国土強靭化~新たな基本計画と継続的・安定的な取り組みの促進~」について私なりにまとめます。
近年、我が国いや世界では自然災害が激甚化しているように感じます。正月には能登半島で震度7の地震が発生しました。この地震は最近のニュースで1000年に1度とも言われていました。それにより、ライフラインである、電気やガス、上下水道等は損傷を受け依然として復旧が出来ていない状況です。いくら発電所等が損傷していなくてもそれを送電するはずの電線が切れたり損傷を受ければ簡単に供給できなくなることが判明しました。
我が国は、甚大な自然災害に遭うたびに、国土強靭化計画を打ち出してきました。2013年に国土強靭化基本法が制定し、それから2018年には改定、2023年には2回目の改定がなされました。
2023年 国土強靭化の基本的な考え方は、①人命の保護 ②国家・社会の重要な機能の維持 ③国民の財産・公共施設の被害最小化 ④迅速な復旧復興 の4点を踏まえて、下の5本柱を基本計画に位置付けられました。
①国民の生命と財産を守る防災インフラ
②経済発展の基盤となる交通・通信・エネルギーなどのライフラインの強靭化
③デジタル等新技術の活用による国土強靭化施策の高度化
④災害時における事業継続性確保を始めとした官民連携強化
⑤地域における防災力の一層の強化
令和3年度~令和7年度で追加的に必要となる事業規模を概ね15兆円を目途として対策を実施することになっています。3年目にあたる2023年度までに9兆円を超える事業規模を確保し、着実に推進してきているところです。これにより被害が大きく軽減する効果が確認させているようです。
ここまでは、国土強靭化~新たな基本計画と継続的・安定的な取り組みの促進~を要約してきましたが、これらをコンクリート主任技士の論文のお題になる「コンクリート構造物の耐久性向上」について記述していきたいと思います。
こんな感じでどうでしょうか。
コンクリート診断士に必要は補修および補強方法例
次に5.1についての条件をまとめていきます。
地中送電用シールドトンネルの劣化および補修補強方法の事例になります。
条件
①1970年代から1980年代が建設の最盛期であり、現時点で30年以上経っている。
②超高圧ケーブル収容のため、発熱により高温かつ多湿な環境条件である。
③周辺岩盤には塩分を含む地下水が流れている。
④地中送電用シールドトンネルの構造は、セグメント(鉄筋構造物)であり二次覆工のない円形のコンクリート構造である。また、多くのケーブルが配置されているため内面の点検や補修用のスペースがほとんど無い。
⑤トンネル内部へ浸入した漏水は、蒸発し塩分が濃縮されていた。
⑥トンネル内部底版部の集水ホースから溢れるような漏水がある。
点検結果
点検は、目視観察や打音、ひび割れ調査等を行い、変状状況をスケッチした。
①周辺の地下水の変動などにより設計想定以上の荷重が作用していた。それにより変形やひび割れが発生していた。
補修の対策(漏水対策案)
①止水による漏水対策:アルファ―・ゾルを主材として吸水性ウレタンプレポリマーを適量混合し止水を行った。アルファー・ゾル単体では硬化時間の関係であふれだしている漏水を止水することができなため、吸水性ウレタンプレポリマーを加えた。また、従来のウレタン系注入工法よりもゴムのような弾力、コンクリート面と密着、施工中の材料が容易に流されないということが確認試験で証明された。
②施工後の確認:目視確認とサーモグラフィーによる表面温度の計測で止水の効果を確認した。
柱体による補強対策(変形が大きいための対策案)
①円形中心にI型の支柱を施工した:理由、ケーブル移設がでいないこと。内部は狭隘であるため人力で可能の施工であることを考慮したためである。通常は、トンネル内部に鉄筋コンクリートを巻きたてる補強方法が多いようであるが、条件が合わなかった。
シールドトンネルの補強対策(連続繊維シートによる補強)
①連続繊維シートの採用理由は、高強度、高耐久かつ軽量で施工が容易である。また、内空の確保や保守性の容易さがある。
②施工上の注意としては、結露防止のため送風機を使用した。セグメント間の施工では、気泡が残らないように留意すること。連続繊維シートの養生時間を考えた施工を行う。効率的な施工順序を計画する。
点検作業の効率化
①シールド内は、狭隘な空間であるため、点検作業は、作業性の悪さから目視に労力がかかり過ぎる。そのため、半自動機器となる画像撮影を採用し、それに加えAIによる変状の自動検出を自動化する。
以上です。
まとめ
今回地中送電用シールドトンネルの劣化状況から補修および補強方法をみてきましたが、このような狭隘な構造物から変状を発見し、そして調査、対策を行うことの難しさを改めて実感することができました。露出している構造物の変状に対しての発見や対策方法は、ある程度確立したものがありますが、狭隘な構造物への対策は、これからの課題だと感じました。今後は、人力では対応しずらい構造物に対しての技術開発が求められると感じました。
連続繊維シートの素材が知りたかったですね。確か炭素繊維は通電性があったように記憶していましたが…。
まだ、まだ、これからですね。(^^;)
皆で頑張っていきましょう!!
では、この辺で失礼します。
【コンクリート工学2023年12月号】主任技士・診断士の方へ
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