コンクリート診断士は、合格率が15%程度の難易度が高い民間資格です。
この記事では、独学で勉強できるように【疲労】についてまとめています。
私は、コンクリート診断士、コンクリート主任技士を取得しています。
特に、コンクリート診断士の取得を目指している方に有益な情報を発信すること目指しています。
疲労の現象を簡潔にまとめていますので最後までご覧ください。
また、私が使った参考書も紹介しています。
疲労
それでは疲労について説明したいと思います。
劣化現象である疲労は、苦手意識があるのではないでしょうか?
私は苦手意識がありました。
それは、疲労には土砂化の変状や、ひび割れ発生の順序など、なぜか覚えにくく苦手意識がありました。
この記事を読んで頂ければ、よく理解できると思いますので最後までご覧ください。
はじめに
疲労は主にメタルの床版での劣化を例に挙げる問題形式が多いなという印象です。(建築の床などもありますが…)
理由は、「繰り返しの応力(ひずみ)と時間=S-N曲線」の関係で劣化するため床板劣化の問題を出題しやすいからだと思います。
疲労劣化は、繰り返す大きい応力で劣化しますが、小さい(弱い)応力(ひずみ)でも長期間繰り返し荷重がかかると破壊に至ります。
ただし、想定している構造物の供用年数よりも長い場合であれば問題にはなりません。当たり前のことですが…
劣化に至る場合の大きな応力とは、殆どが設計段階よりも交通量が増加したことが原因になります。
これにより床版に配置されている鉄筋の許容引張応力を超えてしまい、力の分散ができなくなることがあげられます。
また、疲労の劣化を促進させる要因は、水の浸入や中性化、塩害、ASR、凍害などいろいろあります。
それでは、疲労についてのメカニズムについて簡単に説明していきます。
疲労のメカニズム
床版には既に乾燥収縮などによるひび割れが存在しています。
この状態で繰り返しの応力(荷重)がかかると、まず橋軸直角方向にひび割れが生じます。
次に橋軸方向にひび割れが生じます。いわゆる網細化です。
それから押し抜きせん断力が低下し角落ち等が発生します。その状態が進行すると床版に貫通ひび割れが発生します。こうなると劣化期です。
疲労の促進は上記しましたが、水がそこに加わると進行スピードが速くなります。床版は水に弱いことがわかります。
そのため、現在の橋梁には橋面防水を行っていますが、問題になる過去の床版には殆ど防水施工はされていません。
ここでなぜ、床版に水が加わると進行スピードが速くなるかというと、きちんとした根拠データはないそうですが、おおよそのシナリオがあります。
それは、コンクリートの表面にひび割れがあるとそこに水が浸入します。
浸入すると荷重(輪荷重)がかかると、その水に圧力がかかります。圧力がかかるとコンクリートが少しずつ破壊されます。これが土砂化に繋がり要因の一つです。
水が関与すると劣化が促進するというわけです。
まとめ
- 床版には既に乾燥収縮にひび割れが発生している。
↓
- 床版下面に橋軸直角方向にひび割れが発生する。
↓
- 床版下に橋軸方向にひび割れが発生する。
↓
- 角落ちおよびスリット化する。
↓
- 貫通ひび割れが発生する。
こういう順序です。
この流れで、劣化過程を述べます。
疲労の劣化過程
潜伏期:床版には既に乾燥収縮にひび割れが発生している。
進展期:床版下面に橋軸直角方向にひび割れが発生する。床版下に橋軸方向にひび割れが発生する。網目化する。
加速期:角落ちおよびスリット化する。
劣化期:貫通ひび割れが発生する。
疲労の調査方法
調査方法は、ひび割れが入っていく過程を調査する方法や、たわみを調査する方法、交通量を調査する方法、設計図書の確認です。
具体的に下に述べます。
AE(アコースティックエミッション)
新規で発生するひび割れが調査することができます。(既に入ってしるひび割れは調査できません。)
そのため、新規にどこにひずみが発生しているかが調査でき、ひずみ位置の確認できます。
載荷試験
実際に大型トラックを通過させそこ時のたわみ等を調査する。
当時と比べどれくらいたわみが増加しているかを確認します。
この時一緒にAEも設置しておくことが多いです。
たわみはどうやって調査するかは、レベルを使用したりデジタルカメラ等を使用したりいろいろあるみたいです。
交通量調査
交通量を調査します。
設計図書の確認
当時の情報が大事になるため、図面や施工記録、計算書などを調べることが重要になります。
環境調査
現場がおかれている環境状態を確認します。
山間部か、海に近いか、ASRの骨材が使用されていないかなどです。
※あとは現場の劣化状況をみて自然電位法、コアを採取して圧縮試験や弾性試験を行う。これにより鉄筋の錆びている範囲やコンクリートの強度および剛性をみることができます。まとめると、疲労が劣化原因なのかは、①~⑤になります。そこから補修および補強方法を考える場合には自然電位法などの調査も必要になります。
疲労の論文
疲労の論文はこちらの記事からご覧ください。
【模範解答】記述式のテンプレートをコンクリート診断士が紹介!
論文を記載したあとの補足説明
仮に鉄筋の腐食の損傷が激しい場合は、鉄筋を採取し引張試験等を行ってみるものいいと思います。ここでは塩化物含有量が0.5kg/m3なのでそこまでの損傷はないと判断しています。あくまでも私のイメージ的な論文です。
診断士問題の床板事例は、複合劣化になると思っています。床板が損傷(ひび割れ)するとそこから100%の確率で劣化因子が侵入します。早期に劣化状況が発見できればよいのですが、目視点検においては中々把握することが難しいみたいです。でも最近は、自動車に搭載した電磁波レーダなどがあり損傷を早期に把握できることもあるそうです。
論文では、こうした最新技術を取り入れながら書くこともいいと思います。ただ、確定している方法でもあれば記載して問題ないと思いますが、実験中のものや完全に立証できていない方法は記載しない方がいいと思います。
火害についても解説しています。この記事では火害の具体的な論文も記載していますので、ぜひご覧ください。
【コンクリート診断士合格に必須】コンクリートの劣化原因である火害を解説
コンクリート診断士の合格に必須 コンクリートの劣化原因である中性化を解説
記述式を苦手としている方にはぜひ見て頂きたい記事となっております。
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