【RC床版(スラブ)の欠点解説】欠点を理解した記述式対策

床版の欠点 コンクリート診断士

こんにちは。ポッキーです。

この記事は、一言でいうと、RC床版の欠点を理解し、その対策を理解するものになっています。床板の劣化に不得意を感じている方にはぜひ、一度読んで頂きたいものになっています。

人物像私は、コンクリート診断士、コンクリート主任技士を取得しています。

コンクリート診断士・主任技士の取得を目指している方に有益な情報を発信すること目指しています。

本日は、RC床版の欠点を理解していきましょう。参考文献としては、2024年4月のコンクリート工学誌によるものです。私がすごくためになりましたので、皆さんには、私なりに嚙み砕いた説明したいをしたいと思います。

これを最後まで読んで頂ければコンクリート診断士の記述式論文を有利に展開することができるようになります。ただし、床版劣化に関する問題になりますが、とても有益な情報になっていると思います。

床版構造の欠点を理解することで、論文での深い原因を論じることができると思います。

RC床版の欠点について

それでは、始めます。

RC床版はどのように劣化するのでしょうか。皆さんもご存じだと思いますが、主な流れは次の通りです。

完成時直後から乾燥収縮等による微細なひび割れが発生しています。それから当時設計から比べ交通量の増加による振動数が増えひび割れを助長し、そこに水等が浸入することで加速度的にひび割れが進行していくメカニズムです。やがて、下床版から上床板に貫通したひび割れが多数生じることで床版としての連続性が失われます。このようになれば本来の耐荷性能が低下し劣化期を迎えることになるわけです。

では、ここで考えなければならないのは、「どうして完成時から微細なひび割れが発生しているのか」という疑問です。それはコンクリートの性質上、ひび割れが入ることは仕方のないことです。このことは皆さんもご存じの通り常識でもあります。しかし、原因が分かっているのに対策を行わないで指をくわえているわけにはなりません。

では、どういった対策をとることが必要なのでしょうか。

対策

考えられる対策は、次の通りになります。

①初期の乾燥を防ぐことです。この対策としては、現在は被膜養生材などを使用し対策をしています。しかし、1980年代以前にはこのような材料はありませんでした。そのため、表面積が広い床版では現在と比べるとひび割れが多く発生していたと言えます。

②直射日光た風を遮断することです。この対策も①と繋がりますが、急激な乾燥により乾燥収縮が発生してしまいます。特に夏場はそのリスクが増大します。現在は、日除けを上空に設置し対策をしている現場も見られます。

③曲げモーメントを考慮した打設順序とする。特に鋼橋上の床板の打設には注意が必要です。打設中の自重(コンクリート)を考え、予め曲げモーメントを発生させながら打設箇所を決定していくことが重要なのですが、近年、分割発注が多くなり、地元業者が床版を施工することが増加しています。これはどういうことかというと、浅いコンクリートの知識の技術者が打設計画を立案し実施してしまい、結果的にひび割れが生じている事例があります。この辺りは国交省発注でも多くあり、真剣に考える必要がありそうです。

④水セメント比の低すぎるコンクリートは扱わないと言うことです。これは一見、水セメント比は小さい方がいいと言われています。余剰水が少ない方が圧縮強度も高くなり、水が少ない分、乾燥収縮ひび割れが少なくなります。一方では自己収縮やプラスチックひび割れが発生しやすくなります。ここでは(コンクリート工学誌)、低すぎることのも良くないとされています。それは、床版の養生方法に問題が出てくるからだと言われています。具体的にどういうことがというと、床版は表面積が広くなりがちです。高速道路等の橋梁の床板を想像してみて下さい。延長が数百メールになる場合が多く、一度に打設するわけではありませんが、面積が多いため水分の逸散が多くなる傾向にあります。現在では、保水がある養生マット等があったり、水分の蒸発を感知し自動散水もできるシステムを導入してるケースもあります。しかし、このような対策を全てにおいて行っているかというとそうではありません。昔ならなおさらのことです。表面積が大きい部位の養生においては、水の逸散があることから、水セメント比を少なくし過ぎることはリスクが上がることもあると警鐘を鳴らしています。

⑤ひび割れ指数を割り出し補強筋を設置する必要があります。コンクリートの性質上ひび割れが生じることは致し方ありません。それと同時に構造上ひび割れが発生しうる部位についても計算上特定できますので確実に対策を行う必要があります。

⑥床版厚を大きくすることが重要です。この狙いは、発生段階のひび割れの拡大を抑えることです。床板厚を大きくすることで曲げへの抵抗性を向上させることができ、つまりは、ひび割れが発生しても拡大には繋がらず、劣化進行を抑制できるとの見解です。コンクリート量が増加するため構造的金額が増えることが想定されますが、ひび割れを抑制するという観点では有効になります。

⑦異型断面プレート形状からフラット断面を採用することです。異型断面プレート形状は、はり端部の弱軸方向の断面にひび割れが生じる場合が比較的多いと言うことです。これは、弱軸方向の配力量が小さいためひび割れ幅が拡大する傾向があるためです。そのため、設計段階での協議が必要になります。

⑧打ち込み時のコンクリート温度を抑える必要があります。特に夏場のコンクリート温度は、35度を超えることがあります。コンクリート温度が高くなれば硬化時の温度が高くなり温度応力によるひび割れが発生してしまう可能性が高まります。そのため、ひび割れを発生させるリスクは下げる方法が必要です。材料についても中庸熱セメントを使用することや、ひび割れ抑制対策として膨張剤を検討することも必要です。

まとめ

RC床版の初期の劣化原因であるひび割れをみてきました。やはり、一番大切な事はひび割れを制御することではないでしょうか。ひび割れを制御する方法には、誘発目地があります。よく土間コンクリートや壁高欄、コンクリート舗装、擁壁などに設けられていますが、床版コンクリートには設けられていません。床版も同じように誘発目地を設置できればいいのでしょうが、厚みに対する深さは、1/3~1/5D必要になりますので、それを設計に考慮すると床版厚が大きくなり金額が膨れ上がることになり、実現できていないのが現状です。

床版の劣化は、初期のひび割れを制御することができればその発生を減少させることができるため、現在のところ上記①~⑧の対策により、できるところからやっておく他ないと感じました。

コンクリート診断士の出題されることがある床板劣化においても、劣化の原因が上記①~⑧にあることも意識し、原因からの対策を考えていくことで、説得力のある記述ができるのではないかと感じました。

 

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