こんにちは。Pochyです。
今回、読者の方から令和7年 コンクリート診断士試験の 復元論文 をご提供いただきました。総勢30名以上の方から依頼がありました。本当にありがとうございました。
やはり、これほどまでに添削すると、良い点、悪い点がわかります。これを提供者に承諾を得る形で、読者にも情報提供をしていきたいと思っていますので、どうぞ、お楽しみにしてください。今回は、第1話ということで、今後10話以上に渡って論文の紹介をしていこうと考えています。
この記事では、添削する中で、Pochyが感じた部分を「総評」を行いましたので、その内容を少しまとめてご紹介します。
この論文は 4択のボーダーラインを超えている ため、記述式が合否を分けるケースです。
合格論文かどうかは断定できません。ただ、答案を読み解くことで「どこまで書ければ合格ラインに乗るのか」が見えてくる部分はあります。
今回は設問ごとに、原文の惜しかった点と修正例を紹介しながら、多くの受験者に共通しがちな答案のクセを解説します。
問1:結論は良いが、メカニズム説明に偏りすぎ
結論部分はよく書けていました。
一方で、メカニズムの説明が詳細になりすぎている印象がありました。
この設問では、腐食が発生した理由と発生していない理由を比較して述べることが求められています。そのため、やや論点がずれてしまっていました。
修正例
鉄筋腐食の原因としては、ひび割れが壁を貫通したことで水分の影響を受けやすくなったこと、また地下水に含まれる塩化物イオンが中性化フロントの進行を助長したことから、局所的に鉄筋腐食が進行したと考えられる。
水分の影響と塩化物イオンによる中性化促進という2つの要因を関連づけて説明することで、設問の意図に沿った回答になります。
その他の指摘点
① チョーキングの原因について
「チョーキングの原因は水分によるものと推定した」という記述がありました。
チョーキングは紫外線劣化の影響も受けるため、その点にも触れられているとなお良かったです。
② 大型車両の通行についての記述
「橋の前後がどこの道路区間であることから大型車両の通行がある」という一文は、根拠がやや読み取りにくい表現になっていました。-
✅ 問1の合格のコツ
原因考察の設問では、メカニズムを詳しく説明することよりも
「発生した理由」と「発生していない理由」を対比させる視点
を持つことが重要です。
問2:数値による比較で説得力を上げる
問2は大きな問題はなく、よく書けていました。
さらに良くするポイントは他の材料と比較した記述を加えることです。
具体的には、中性化速度の数値を実際に計算し、その結果を説明に盛り込むことが有効です。感覚的な説明ではなく、数値的根拠のある論文になります。
✅ 問2の合格のコツ
定性的な説明だけでなく、**与えられたデータ(表の数値)を計算して根拠として使う**ことで、論文全体の説得力が大きく変わります。
問3:文の長さと、調査・対策の「目的」の明示
① 文章構成について
文章がやや長く、**区切るだけで読みやすさが大きく変わります。**
原文(長文の例)
問2により2061年時点での腐食の可能性は低いと考えられるが、変状として浮き、膨れ、チョーキングがあることから……
修正例
問2により2061年時点での腐食の可能性は低いと考えられる。**しかし**、変状として浮き、膨れ、チョーキングがあることから……
一文を区切るだけで、格段に読みやすくなります。
② 調査手法の「目的」を明示する
自然電位法と分極抵抗法を提案すること自体は良いのですが、**それぞれを提案する目的**についてもう少し論じる必要があります。
自然電位法 → 鉄筋の腐食範囲を特定するために行う
分極抵抗法 → 腐食速度を把握するために行う
さらに、腐食速度を把握することで補修時期の計画立案につなげられる、という点まで書くと、調査結果と対策の関連性が明確になります。
③ 対策の流れを整理する
表面保護の施工前に行うべき補修方法として、ひび割れ補修による劣化因子の遮断についても記載が必要です。
その上で複層塗装を施工する、という流れで整理します。
④ 表現の重複に注意
原文
表面被覆の施工を行うことにより、塩化物イオンの拡散を下げることにより……
修正例
塩化物イオンの拡散係数を低下させ、塩化物イオン濃度が腐食発生限界に達しないようにする。
「〜により」の連続は減点対象になりやすいクセの一つです。意識して見直してみましょう。
⑤ 保全計画について
保全計画では、調査目的に対応した内容に加え、塩化物イオンの浸透状況や中性化の進行を把握するための点検を提案することも有効です。
また、問1で疲労の可能性への懸念を指摘しているのであれば、それに対する対策も記載することで、論文全体の一貫性が高まります。
✅ 問3の合格のコツ
調査手法を挙げるだけでなく、
「何のためにその調査を行うのか」
「その結果をどう対策・計画に活かすのか」
まで一貫して書くことが、記述式の得点を伸ばすポイントです。
総評
文章全体はよくまとまっており、結論および具体的な対策も明確に記載されていました。
合格かどうかは分かりませんが、論文としては合格圏内にあると感じています。
今回の添削で見えてきたのは、多くの受験者に共通しがちな4つのクセです。
1. メカニズムの説明に偏り、「比較」の視点が抜けやすい
2. 定性的な説明に終始し、数値的根拠(計算)が不足しやすい
3. 対策や調査手法を挙げても、「目的」の説明が省略されやすい
4. 一文が長くなりやすく、読みにくい
これらは意識するだけで改善できる部分も多いです。本番前の見直しポイントとして、ぜひ参考にしてください。
おわりに
今回のように、読者の方からいただいた復元論文をもとに添削・解説する企画は、今後も継続して行っていく予定です。
次回の投稿もお楽しみに。

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