こんにちは。ポッキーです。
この記事では、今年のコンクリート診断士試験後にアンケートを採りました。そのアンケートの要望を解消するべくものに致します。
そのアンケートとはどのような内容だったのかというと、「記述式が難しく感じる理由はどこにありますか?」というものです。そのアンケートの回答では、1番に変状の原因の特定が44%ありました。これを受け、近年の試験内容にもよりますが受験者は変状の原因の特定に苦労しているんだなと感じました。
そこで、この記事では、変状の原因を特定するためにはどうしたらいいのか。その手順を解説していうこと思います。
まず、コンクリート構造物における変状は、一般的に各種の変状が複合して生じており、単純なものではあません。そのため、一般的な変状と言われいるものについてはしっかり身に付けておかなくてはなりません。その知識の基盤がある中で、問題文に記載されてる条件を自分で分析し、変状の原因を特定しなければなりません。
問題文では、必ず、以下の条件が謳われます。
1.供用開始から何年経った、どんな構造物なのか。
2.外観から観た変状(例えば、錆びを伴うひび割れが発生しているなど)
3.補修歴(過去このような劣化がありこんな補修をしたなど)
4.構造物が置かれている現場環境(寒冷地の山間部や、高温多湿であるなど)
5.変状の詳細写真や発生部位
6.構造物の設計条件
7.変状が発生したことによる一般的な調査結果
大体がこの7項目になります。
手順の解説
この1~7についてはどれも重要ですが、私は、まず4.の条件をみることにしています。環境条件(気象条件)でいくつかある変状をある程度絞りだすことができるからです。
例えば、「気温が40℃、湿度が40%、雨量は多いが、構造物の雨掛かりが少ない」という条件であれば皆さんもお解りだと思います。そうです。一番疑われる変状は、中性化です。このように環境条件は私は一番重要項目だと考えています。
次に私が重要だと思う項目は、5.変状の詳細写真や発生部位 です。先ほどの環境条件を踏まえて、これも例えば「鉄筋に沿ったクラックが発生している。しかも錆び汁はない」これを考えた場合の変状は、皆さんもお解りだと思います。そうです。中性化です。これでほぼ中性化が確定します。
しかし、7.変状が発生したことによる一般的な調査結果で、次の様な結果がありました。「深さ10㎝の箇所で塩化物イオン量が0.3㎏/m3」。この結果を踏まえて皆さんは、どのような変状を考察しますか。
少なからず悩んでしまうのではないでしょうか。
でも、少し考えたら、この構造物は元から塩分が入っていたのではないかと考えます。いつ建造しいたのかを確認してみると1980年。これで間違いないな。と考えるはずです。
つまり、変状の原因は、中性化と塩害の複合劣化であることが特定できるわけです。また、論文のセオリーでは、変状の断定せず、「ASRの可能性もあるためこの様な調査をしておくことも検討する」と一文添えることも重要です。
最後は、1~7の項目をよく確認し、総合的に可能性が高い変状を記述することが重要です。
まとめ
いかがだったでしょうか。変状の原因の特定の流れを解説致しました。簡単な例で説明しましたが、考え方は同様です。特定するための基礎は、各劣化原因の特徴をしっかりと頭に入れることです。何回もいいますがここが基盤です。超重要項目なので理解して頂きたいと思います。
このブログでは、このような基礎的なものから応用編まで幅広くアップしています。日頃の勉強に役立てていただければ幸いです。
コンクリート診断士記事のリンクです。ご覧ください。
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