今回紹介するのは、「コンクリート工学 2022 3月」で紹介された、【塩化物イオン浸透深さ測定方法について】です。
この方法は、日本非破壊検査協会規格NDIS 3437 として制定されました。
私は、コンクリート診断士、コンクリート主任技士を取得しています。
特に、コンクリート診断士の取得を目指している方に有益な情報を発信すること目指しています。
それでは、簡潔に紹介していきます。
塩化物イオン浸透深さ測定方法
その方法とは、「硝酸銀溶液を噴霧することで視覚的に塩化物イオンの浸透深さを測定できる」ものです。
従来との比較
では、何が従来と比較して新しいのか、ということを説明します。
それは、測定する手間が低減でき、視覚的に浸透深さを確認できる ということです。
しかし、今回紹介する硝酸銀溶液を噴霧する方法は、同じように視覚的に確認できることができるものです。
測定方法の原理
では、測定方法の原理を説明します。
コンクリート面に硝酸銀溶液を噴霧すると、塩化物イオンが存在すれば白色に呈色します。それ以外は、褐色に呈色します。
白色になる理由は、コンクリート中の塩化物イオン(Clー)と硝酸銀の中の銀イオン(Ag+)が反応し、AgCl(塩化銀)になります。これは白色になります。
褐色になる理由は、コンクリート中の水酸化物イオン(OHー)と硝酸銀の中の銀イオン(Ag+)が反応しAgOHになります。しかし、このAgOHは不安定のためAgO2(酸化銀)と水になります。この酸化銀が褐色と示します。
留意点
もちろん、デメリットもあります。それは、このような場合です。加えて、その対策方法も説明します。
・コンクリート面が乾燥している場合
→乾燥していることは言いかえれば、細孔溶液が少ないということなので、その中に存在する塩化物イオンや水酸化物イオンが少なくなり、十分な量がないため明確に色の判断ができないことになります。
対策方法:蒸留水や精製水をコンクリート表面に給水させることで解消できます。
・中性化している場合
→中性化していると水酸化物イオンが少なくなっているため、何色にも呈色しません。
対策方法はなし。
・硫酸銀溶液の噴霧後の静置時間が長いと浸透範囲が広くなる
→静置時間が長いと塩化物イオンと銀イオンの反応が進み白色が広くなってしまう傾向にあります。
対策方法:静置時間は実験結果から、60分間としています。
まとめ
塩害についての記事もありますので、こちらもご覧ください。
【コンクリート診断士合格に必須】 コンクリートの劣化原因である塩害を解説
論文のテンプレートを作成しました。不得意さを感じている方には、こちらもご覧ください。
コメント