【2024年問題を総括】最新のコンクリート診断士試験の動向はこれだ!!

2024年を総括 コンクリート診断士

こんにちは。ポッキーでございます。

9月17日に2024年のコンクリート診断士試験の合格発表がありました。皆さんの結果はどうだったでしょうか。おそらくこの記事をみているということは、残念な結果?だったのではないかとお察しします。または、これから受けようと思っている方なのかもしれません。

残念な結果を中々受け入れられる状況にない方もいらっしゃることと思います。私もそんな経験をした一人です。なぜ、こんな結果だったのか。自信もあったのに。納得できない。そういった感情で1週間暮したこともありました。でも考えてみれば合格率は約15%なので、100人中85人はそんな状況下の方々になります。これが現実です。

なぜ、残念な結果になったのか。ここを把握して納得し、次に向けて頑張っていかなくてはなりません。「この試験をここで諦める訳にはいかない」と考えていらっしゃる方々ばかりだと思います。なので、ここまでこの記事をご覧になているのだと思います。

この気持ちが大切です。

この記事では、まず、2024年の試験を振り返り、過年度の傾向を確認し、2025年に向けての展望を発信できればと考えています。これから、取得を考えている方にも有益な記事となっていますので最後までご覧下さい。

2024年の合格率

それでは、まず、2024年の合格率を見てみます。

相対評価の合格数であるため、合格率は毎年ほぼ同様と言えます。2024年は全国平均で16.7%です。

           引用:日本コンクリート工学会

毎年集計をしていると相対評価ではありますが、興味深い傾向がみえてきました。それではこの2006年からの2024年の19年間の合格率を集計しものをご覧ください。

2024年合格表

2024年グラフ

今回合格された四択の点数は26問正解で65%です。これはネットから拾い上げた数値です。これに関しては、2022年から続いている結果となっています。ここまでは特に気になることはありません。

では、非常に興味深い結果は、青の点線と赤の点線を記入している下のグラフがわかりやすいと思います。2015~218年の平均合格率は14.85%です。次に2020~2023年の平均合格率は16.0%になっています。この差は1.15%です。何が言いたいかというと、この傾向ならば2025年の合格率は、ずばり、17.15%辺りになります。4年に1度、合格率の上昇がみて取れます。とすると2025年はこの値に近づくのではないかと思います。じゃあ、これからずっと「4年ごとに合格率があがるのか?」と言えばそうではないと思いますが、総じて、ここ10年に関しては4年ごとに上昇傾向があることがいえるのではなかと思います。

2025年からの予想

合格率をグラフにするとわかりやすいですね。2015年以降は、合格率に変動がほぼないと結果になっています。高得点をとることは勿論大事ですが、どうやったら上位15%に入ることができるか、ということを意識してもよいかもしれません。つまり、理解度を深めるということでしょうか。(^^;)

2024年の試験の振り返り

改めて感じたことがあります。3時間で、四択問題40問、記述式1題 1000文字 というのは難しいなと感じました。私も問題を解きましたが、きちんと理解していないと結構時間がかり、そのため「あまり深く考えない結論」で解くことが多くなりがちな状況です。例えば、語句を選び出す問題では、明らかに違っている語句も含んでおり、それを省くことは容易で選択肢は絞ることができますが、時間を奪われているなと感じました。私の肌間では、四択1題を2分で答えを出したとすると、80分。残り100分で論文を書き上げるのは至難の業だと改めて感じた試験でした。

四択問題で7割を目指すことを目標にすれば、12問までは間違ってもいいことになるので、そこは上手く問題を選別していくことで時間を確保する必要がありそうですが、総じて容易に正解を選び出すには時間がかかる印象でした。

問題の難易度について言えば、例年と変わらないのかなと感じました。相変わらず写真付き問題も多く、ビジュアルと文書のセットで理解しておく必要がありそうです。また、少し掘り下げた問題もあったかと思います。例に出すと問7です。化学的侵食の問題なんですが、基本的は侵食の劣化状況は、コンクリートが中性になることが一般的で、これぐらいの知識しか知らない方が殆どです。この問題は、侵食の中でも炭酸の侵食になります。これまで出題されていなかった問題です。このメカニズムをまず知らないとできない問題ではありますが、少し中性化の知識を合わせれば語句や文脈から正解を導き出すことも可能な問題です。こういった問題は間違っても仕方がない問題の部類だと思います。また、数題は過去に出題された類似問題もあったと思います。その中には、過去の記述式の問題を四択に出題してきたものもありました。このパターンも今後定着していくのではないかと思っています。全体的に、四択問題の種類も尽くした印象なので、やはり過去問重視で理解を深めていく勉強法がコスパ的にいいのではないかと感じました。

今回も全体的には、バランスが取れた問題であったという印象です。

2024年の四択問題傾向

では、データで2024年度四択問題傾向を見てみます。

2024年度の4択出題

毎年の4択比率

グラフからの特徴は、「四択」は、減少傾向、「適・不適の組合せ」は、例年並みの出題数、「語句の組合せ」は2023年よりは減少しているものの、増加傾向と見て取れる結果と言えるのだろうと推察します。

つまり、確実な理解を求められる問題が増えたと言えます。また、文章を読みながら総合的に判断する力も求められているものと感じ取れる結果だと思います。

やはり、うる覚えでは四択でも基準点を採ることができない印象と言えますし、前もっての勉強が必要だと感じました。この資格を取得しようとしている方の多くは、長時間労働を強いられがちなコンサルや建設業の方が多く、働きながらの1~2ヶ月では4択問題も基準点を超えることは難しいのではないかと感じた次第です。

次に勉強法についての共有です。

「四択問題の勉強方法はどうしているのか」というアンケートを取らせていただきました。その回答の殆どが「過去問をこなす」との声でした。やはり、この方法が効率的なんだろうと感じました。しかし、その前段としては、やはり各劣化機構のメカニズムの把握は不可欠ですので、そこはしっかり理解していくようにして頂ければと思います。

では、次にどの様な問題が出題されたのかを見てみます。

2024年の出題集計

この集計から見て取れることは、鉄筋コンクリートの変状の出題については昨年から減少し、一方、劣化のメカニズムに関する問題が昨年より増加した結果です。そして、調査・試験・診断方法では、全体的に若干減少した結果です。補修・補強・維持管理では、補強工法の問題が増加した結果となりました。

総じて見れが、項目ごとの出題傾向の増減が見て取れますが、バランスが取れていると感じます。

2025年の出題への対策は、偏った勉強ではなく満遍なく劣化機構を理解していくことが一番よさそうです。

2024年の記述式問題の傾向

次に記述式問題の傾向です。

2024年記述式

出題された構造物について、2017年からまとめてみました。

概要 記述式

建築編は、言うまでもなくRC造の建築物が多い結果になっていますが、過去には煙突や汚染水処理施設の出題が見て取れます。出題される劣化機構は、火害や塩害、中性化、化学的腐食、特徴的なひび割れに関する問題となっています。

一方土木編は、多岐に渡る劣化機構が出題されています。建築とは異なり、土木は現場条件が様々であるため、このような結果となっています。

単純に判断すると、土木編よりも建築編の方が、劣化機構の範囲は限定的であると言えます。

今回の土木編の出題を考えてみると、例年の出題傾向から少し方向性を変え、「人道トンネル」を出題された形となりました。この意図を考えてみると、「例年変化のない出題からの脱出」、または、「出題側の変更」が考えられると推察します。勝手な考察ですが、2017年からの出題傾向を見ているとPC構造物が多く出題されていることから、その傾向を変えたかったことも一因にあるのではないかと思います。また、その一連の中で、問題の作成チームに変更があった可能性もあるのではないかと思います。その得意分野というか専門分野の変更ともとらえることもできます。また、出題問題の傾向を2017年以前に遡ってみると、「橋脚」の変状問題が多い傾向でした。このように年代ごとで出題される構造物も変わっています。ということは、今後は、PC構造物路線から、擁壁や橋脚、函渠、水路などにシフト変更もあるのではないかと推察することもできます。

皆さんを不安視させることを言っているのではなく、もっと「幅広い構造物への対応が必要」であると認識することが重要なのではないかと考えます。また、言うまでもなく、論理的に述べることは必要不可欠要素です。今回の合格者をみてみてもわかるように、変状の回答や調査方法、その対策が異なっていても論理的に記述していれば合格しています。

ここで、唐突ですが、2025年の土木編の出題テーマは、ずばり、「橋台の変状」が出題されるのではないかと思ってます。その理由は、7~8月号の日経コンストラクションだったと思いますが、「橋台の塩害」の記事にありました。個人的に非常に興味深い内容でした。なぜ、興味深かったかというと、誰もが想定していたよりも、劣化が進行していたものでした。面食らった結果です。みなさんも、ぜひ、その記事を読んでみて下さい。

まとめ【2025年へ向けての方向性】

それでは、まとめになります。

合格率は、例年とほぼ変更ありませんが、若干の上昇があり、その傾向を踏まえると来年度は、合格率がさらに上がる可能性があると言えます。

四択問題では、各項目の出題傾向の変化はあるものの、例年と同様幅広く満遍なく出題されいると言えます。そのため、勉強方法としては、アンケート結果も踏まえれば、過去問を解いて理解をすることが合理的であると言えます。ただし、基本である劣化機構のメカニズムはしっかりと理解しておくことをお勧めします。

記述式問題は、建築編はこれまでどおりRC構造物の出題であり、変状も限定です。一方、土木編は、これまでの出題傾向の構造物から変わる可能性があります。そのため、幅広い知識の習得とロジカルに論じるための練習をすることが大切だと感じました。

最後にもう一つアドバイスです。時間を掛けましょう。短期間で覚えてもすぐに忘れてしまいます。なので、じっくり時間を掛けて勉強に励んでください。診断士の資格は、もっているだけではダメです。深い知識を付けることが大切ですので、時間を掛けてやっていきましょう。ということで、早く動くことをおススメします。

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