【基礎編】コンクリート材料のすべて|耐久性を左右する4要素を徹底解説

基本中の基本 コンクリート関連
こんにちは。ポッキーです。
コンクリートって、土木界隈ではなくてはならない材料です。でも、深掘りされると答えられないこのも多いのではないでしょうか。今日はそんな方に向けた「コンクリートの基本中の基本」をお話してみようと思います。
コンクリートは私たちの身の回りのあらゆる場所で使われていますが、その「元となる材料」について深く考えたことはありますか?コンクリートは、実はたった4つの主要な材料からできています。
今回は、コンクリートの品質を支える基本的な材料と、その役割について分かりやすく解説します。

1.コンクリートの基本構成材料

コンクリートは、主に以下の4つの材料を混ぜ合わせて作られます
1. セメント
2. 骨材(細骨材と粗骨材)
3.
4. 混和材料 (必要に応じて)
これらは、それぞれコンクリートの中で大切な役割を果たしています。

2.セメント:すべてを一つにする「魔法の接着剤」

建設分野で「セメント」という場合、一般に水硬性セメントを指します
特徴と役割
セメントの主原料は、石灰石、粘土、けい石などです。これらを高温で焼成・急冷して得られるクリンカーに石膏を加えて粉砕して製造されます
役割: 水と混ぜ合わせることで化学反応(水和反応)を起こし、硬化して骨材同士を強く接着する役割を果たします
種類: 通常「セメント」と言えば、ポルトランドセメントを指すことが多いです。ポルトランドセメントには、用途に応じて普通、早強、低熱など6種類があります
水和熱: セメントが水と反応して硬化する際には水和熱が発生します。特に低熱ポルトランドセメントや中庸熱ポルトランドセメントは、この水和熱を抑えることを目的として、水和熱の上限値が規定されています

3.骨材:コンクリートの「頑丈な骨格」

骨材は、モルタルやコンクリートの骨格を形成する材料です。砂、砂利、砕石などが含まれます
骨材の分類
骨材は粒子の大きさによって「細骨材」と「粗骨材」に分けられます
1. 細骨材(砂): 10mmのふるいを全て通過し、5mmのふるいを85%以上通過する粒子です
2. 粗骨材(砂利や砕石): 5mmのふるいに85%以上とどまる粒子です
細骨材と粗骨材を適切に組み合わせることで、経済的で作業性(ワーカビリティー)の良いコンクリートを製造できます
骨材に求められる品質
コンクリートに用いる骨材は、清浄で堅硬(かたくて強い)であり、化学的・物理的に安定している必要があります。また、有機不純物や塩化物などの有害な不純物が基準量以上含まれていないことが重要です
再生・副産物利用の骨材
資源の有効利用や環境負荷低減のため、鉄鋼精錬の副産物であるスラグ骨材(高炉スラグなど)や、解体コンクリートを破砕した再生骨材も利用されています

4.水:反応と作業性を支える

水は、セメントの水和反応に必須であり、またコンクリートの作業性(練りやすさ、流動性)を確保するために欠かせない材料です
コンクリートを設計する際には、**水セメント比(W/C)**という指標が非常に重要になります。W/Cが小さい(水の量が少ない)ほど、密実で耐久性の高いコンクリートになります

5.混和材料:性能をアップさせる「特殊な添加剤」

混和材料とは、水・セメント・骨材以外の材料で、コンクリートの品質向上や特定の性能を付与する目的で必要に応じて添加されます
混和材料は、使用量によって大きく二つに分類されます
分類
定義
主な使用目的
混和剤(化学的添加剤)
比較的少量の使用量
作業性向上、凝結時間の調整、減水など
AE剤、高性能AE減水剤、凝結遅延剤
混和材(鉱物質添加材)
比較的多くの使用量
水和熱抑制、長期強度増進、耐久性向上など
フライアッシュ、高炉スラグ微粉末、シリカヒューム
代表的な混和材料の役割
1. AE剤(空気連行剤)
    ◦ コンクリート内部に独立した微細な空気泡(連行空気泡)を一様に導入します
    ◦ この空気泡がボールベアリングのような働きをすることで、ワーカビリティー(作業性)が向上します
    ◦ さらに、水の凍結膨張圧を緩和し、耐凍害性(凍結融解に対する抵抗性)を著しく増大させる効果があります
2. 高性能AE減水剤
    ◦ 高い減水性能と、コンクリートの流動性(スランプ)を長時間保持する優れた性能を持っています
    ◦ 水セメント比を低減できるため、高強度、高耐久性といった高品質・高性能なコンクリートの製造に欠かせません
3. フライアッシュ(混和材)
    ◦ 火力発電所の副産物で、細かい球形の粒子です
    ◦ セメントの水和生成物と反応(ポゾラン反応)し、長期的な強度を増進させます
    ◦ 水和熱の低減、水密性や耐久性(塩害、中性化、アルカリ骨材反応の抑制)の向上に役立ちます
4. 高炉スラグ微粉末(混和材)
    ◦ 製鉄所の高炉から排出されるスラグを急冷・微粉砕したものです
    ◦ 潜在水硬性(水で固まる性質)があり、初期強度は小さいものの、長期強度の増大が見込めます
    ◦ 水和熱の低減、水密性の向上、アルカリ骨材反応や塩化物イオンの浸透抑制に効果があります

まとめ

コンクリートは、セメント(接着剤)、骨材(骨格)、、そして混和材料(性能向上剤)という、シンプルながらも役割の異なる材料が組み合わさってできています。これらの材料一つひとつの品質と配合を適切に管理することで、私たちが安全・安心に暮らせるための丈夫で長持ちするコンクリート構造物が実現するのです

追加(少し深掘り)

補足資料】コンクリートの性能を高める主要な混和材料・混和剤の特徴
コンクリートの品質や施工性を調整するために不可欠なのが混和材料・混和剤です。ここでは、特に重要な5種類の材料についてまとめます。
材料名
分類
主な特徴・作用
適用目的/効果
使用上の留意点
高性能AE減水剤
混和剤
高い減水性能と優れたスランプ保持性能を持つ。ポリカルボン酸を主成分とするものが多い
単位水量の規定遵守高流動高強度高耐久性といった高性能コンクリートの製造に不可欠
粘性が大きく、練混ぜやポンプ圧送時の負荷が増加する
AE剤
混和剤
独立した微細な空気泡(連行空気泡)を一様に連行する界面活性剤。空気泡がボールベアリングのように作用する
ワーカビリティー(作業性)の向上耐凍害性を著しく増大させる
過度の添加は硬化不良や強度低下を招く。フライアッシュに含まれる未燃焼カーボンがAE剤を吸着し、添加量が増大することがある
フライアッシュ
混和材
火力発電所の副産物(微粉炭燃焼ボイラーの灰)。球形の細かい粉体。水和熱の生成物と反応するポゾラン反応性を持つ
水和熱の低減。長期強度の増進。水密性、塩化物イオンやアルカリ骨材反応の抑制など耐久性向上
未燃焼カーボンが多いとAE剤の添加量が異常に増大することがある
高炉スラグ微粉末
混和材
製鉄所の高炉から排出されたスラグを急冷・微粉砕したもの潜在水硬性(水で固まる性質)がある
水和熱の低減。長期強度の増大、水密性の向上。アルカリ骨材反応や塩化物イオン浸透の抑制
一般のコンクリートより中性化がやや大きくなることが指摘されている。養生温度が高くなると水和熱が大きくなる場合がある
シリカヒューム
混和材
金属シリコン製造時のガスの超微粒子(平均粒径0.1μm以下)。アルカリ溶液中で初期にポゾラン反応を起こす
非常に緻密な生成物が生じ、骨材との付着が良い。高強度コンクリートなどに使用される
超微粒子のため、均一に分散させるには高性能減水剤が必要となる。AE剤を吸着し、緻密化により耐凍害性の低下が懸念される
補足:そのほかの特殊な混和剤
材料名
分類
主な特徴・作用
適用目的/効果
使用上の留意点
超遅延剤
混和剤
数時間から数日間の長時間の凝結遅延作用を持つ。主成分はオキシカルボン酸やグルコン酸等の有機系化合物が多い
戻りコンクリートに添加することで翌日の再利用が可能。暑中時の打ち重ね間隔の確保にも有効
添加量の増大に伴い、ブリージングの速度や量が増加し、水みちや打継ぎ部の付着力低下が懸念される
水中不分離性混和剤
混和剤
コンクリートに粘性を与え、水中の洗い作用を受けても分離しにくくする
水中打設において、コンクリートの品質低下や周辺水質の汚濁を極めて少なくする
粘性が高くなりすぎると施工性が悪くなる。凝結時間が遅延するため、型枠側圧が高くなり、脱型時期が伸びる

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